2025年度 白金法学会論文賞審査結果
1.総評
今年度は、次の5つのテーマから1つを取り上げ、具体的問題点を踏まえて、その法的課題や解決策等について論じて下さいというものでありました。
- インターネットと犯罪
- LGBTQと法
- 2025年において外国の法や政治を学ぶことの意義
- 流動化する国際秩序と国際法の役割
- 自分が最も関心ある法的または政治的な問題について(※自由論題―1,2年生限定)
今回の応募総数は、テーマ③と④の2件でありました。
審査経緯
論文審査は、白金法学会の役員によって行われました。教員役員4名がそれぞれ審査にあたり、審査員の評価を取りまとめたのち、対面最終審査会にて厳正な審査を行いました。その結果、下記の通り、最優秀論文賞及び優秀論文賞について該当者はありませんでしたが、奨励賞を2名の者に授与することと致しました。
講評
伊藤さんの論文は、戦後から現在に至る文脈整理を起点に、欧米―とりわけ日米欧の比較―へと展開し、最後に日本の政策的含意へ収れんする骨子が明快である点、Brexitの票差や世代間の傾向(2016年国民投票における若年層と高齢層の違い)といった具体的事実を適切に織り込み、ポピュリズムや「ポスト真実」現象を通じて「なぜ今、外国の法と政治を学ぶのか」という主題へと説得的に回収している点、結語では、日本の課題を経済・文化・政治の三層で整理し、実務的提案へとつなげる姿勢などが評価されました。他方で、章立て(見出し付け)がなされておらず、論文としての形式が整えられていない点は大変残念でありました。また、前半部分のヨーロッパ諸国とアメリカに共通する問題については、各国の共通の事象を抽出してその特徴がまとめられていたのに対して、後半部分の「日本はグローバル化といかに向き合っていくべきか」については、分量的に物足りない部分であり、その中身もいくぶん抽象度の高いものに終始していたとの評価もあり、後半部分について十分な考察がなされていれば、より優れた論文となったものと思われます。
石見さんの論文については、国際秩序の歴史整理から難民条約の制度論へ収れんする構成が明快で、章立ても論旨も一貫している点、難民条約の基本枠組みとUNHCRの監督機能、「ノン・ルフ―ルマン原則」の核心性を踏まえつつ、各国の運用差・政治要因が理念の実現を阻む実態を描き、ICJ判決の履行が国家裁量に委ねられるという国際法の制度的限界に接続している点などが評価されました。他方で、 目次の構成が不適切であり(2についてはタイトルがあるのに、34にはタイトルがなく、また4は(1)がない)、論文としての構成がしっかりとなされていない点は大変残念でありました。また、2の「国際秩序の変遷」を踏まえて、34で「難民問題における国際法の課題」について論ずるという構成がとられていますが、前者が後者の論述の基礎となっていないのではないかとの評価もあり、全体としてまとまりのある論文に仕上げられていたならば、より優れた論文となったものと思われます。
2.審査結果
- 最優秀論文賞:該当なし
- 優秀論文賞:該当なし
- 奨励賞: 2件
伊藤 千峻(グローバル法学科3年)
石見 梨々花(消費情報環境法学科4年) - 参加賞:応募者全員
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2025年度 白金法学会論文賞審査結果
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- 2021年度 白金法学会論文賞審査結果
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