白金法学会論文賞

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2021年度 白金法学会論文賞審査結果

1.総評

今年度は、次の6つのテーマから1つを取り上げ、具体的問題点を踏まえて、その法的課題や解決策等について論じて下さいというものでありました。

  1. 外国人労働者の受け入れをめぐる課題
  2. ポストコロナ時代における脱炭素社会の可能性
  3. 行政や企業のハンコ手続きの是非
  4. ポストコロナ時代における国際交流・海外留学の意義と可能性
  5. オリンピック開催の今日的課題と今後のあるべき方向性
  6. 自分が最も関心ある法的または政治的な問題について(自由論題―1,2年生限定)

今回の応募総数は、テーマ②が2件でありました。

審査経緯

論文審査は、白金法学会の役員によって行われました。教員役員5名が、OB役員8名が、それぞれ審査にあたりました。審査員の評価を取りまとめたのち、新型コロナウィルス感染症拡大防止の見地から、最終審査会は教員役員によるメール稟議にて厳正な審査を行いました。その結果、上記の通り、最優秀論文賞及については該当者はありませんでしたが、優秀論文賞を1名、奨励賞を1名の者に授与することと致しました。

講評

優秀論文賞とされた亀井さんの論文は、中国の脱炭素化についてまとめたものです。中国は脱炭素化において最も注目される国のひとつであり、その動向に注目するという着眼点・問題意識は優れたものです。また、中国語の文献も含めて多くの文献を調査し、世界の潮流から日本の実態や中国との比較まで幅広く調べている点は高く評価できます。一方、独自の考察・意見があまり見受けられなかった点は残念でした。

奨励賞とされた三河さんの論文は、脱炭素で世界をリードする欧州の中で、中心的な役割を果たしている欧州委員会の政策を中心に論じたもので、この論文も着眼点・問題意識が評価されました。ただ、現状について丁寧に調べまとめている一方で、独自の意見や考察が不足していた点は残念でした。調査研究の結果を受けて、例えば日本がどのように脱炭素社会を構築していくのか等について自身の考えの一端でも論じられていたら、より深みのある論文になったはずです。また、論文の構成にもさらなる改善の余地があります。

両方の論文に言えることですが、中国、欧州と切り口は違うもののその着眼点は優れていました。また、内容も詳細に調査されており、読み手にとって有益な情報提供となっている部分も多くありました。しかしながら、論文執筆においては、「その先」が重要です。筆者の「オリジナリティのある」考察、意見が主張されてはじめて論文として成り立ちます。ぜひその点を踏まえて、ご自身の論文を見直してみてください。きっと得られるものがあるはずです。

以上2件の論文については、課題として残る点はあるものの、説得力のある内容でありましたので、審議の結果、優秀賞と奨励賞に相応しいとの結論に至りました。

2.審査結果

  1. 最優秀論文賞:該当なし
  2. 優秀論文賞:1件
    亀井のい(法律学科3年)
  3. 奨励賞:1件
    三河眞弓(法律学科3年)
  4. 参加賞:応募者全員